東京では桜が終わりました。みなさんいかがお過ごしですか。
頭にネクタイ巻いた上司の野外カラオケに声援を送らされましたか。
手拍子の強制にゲンナリしましたか。
そんなアナタ、桜をテーマにした詩・短歌・イラストレーション展示会が
ございましてよ?
今度は静かな桜見物といきましょうよ、ギャラリーで。
えー、短歌キャンプの受講者で、『笹短歌ドットコム』の常連投稿者でもある
酒井景二郎さんの参加する作品展の案内をいただきました。
よって勝手にここでも宣伝します。
酒井さんは短歌を詠む前に雑誌・『詩とメルヘン』に散文詩を
投稿されていたそうです。今回はそのつながりでの参加なのかな。
(いろいろ伺ったのにこのへん記憶があやふやでまことに申し訳ないです)
『詩とメルヘン』という本、名前くらいは聞いたことがあるけど
あとは知んないっていう人、手ぇあげてー。
はい、手をあげた人ー。
あなたはおそらく、ギャグマンガの中なんかで物笑いのタネとして
『詩とメルヘン』を見かけましたね?
ケンカ番長のカバンの中から『詩とメルヘン』が出てきて、子分どもが
「オ、オヤビンのコレは見なかったことにしようぜ」
みたいなー?
そういう方、ひとくさりお話させてくださーい。
『詩とメルヘン』は多くの詩人・イラストレイター
( 挿絵画家、という言葉のほうがピッタリくる )を輩出した
投稿雑誌でした。
抒情詩人と童画系イラストレイターの登竜門。
メルヘンのつわものたちが切磋琢磨する梁山泊だったのです。
編集人(編集長という呼び方はしなかった)は、やなせたかし氏。
『アンパンマン』の作者・『てのひらをたいように』の作詞者として
超おなじみの、あの方です。
『やなせたかし』でググると検索候補に「やなせたかし 闇属性」なんて
言葉がでてきます。
「『アンパンマン』の主題歌の歌詞って児童向けとは思えないほど重い」
とか
「アンパンマンは愛と勇気しか友達がいない……あわれな奴」
なんて手垢のついたツッコミがありますけれども、どれも氏の抒情に触れた
世間のすなおな驚きのあらわれでしょう。
(詩=地味め少女の落書きみたいに思っている人はいつでも多いですよねぇ)
そんなやなせ氏のライフワークとして『詩とメルヘン』がありました。
同誌は2003年に惜しまれつつ休刊したわけですが、それでも30年間
出版されつづけたのは驚くべきこと。出版元はサンリオでした。
(サンリオは70〜80年代にマニアックな出版をいろいろやっておりました。
SFを扱ったサンリオ文庫はマイナーな作品ばかり扱って、絶版後の作品が
マニアの間で高値で取り引きされているなんて事もございまして、
キティちゃんにもなかなか業が深い一面があるのですね)
サンリオの『詩とメルヘン』は休刊しましたが、やなせ氏編集による『詩とファンタジー』が
現在、二号まで発行されています。メルヘン大将軍の行軍はまだ終わりません。
……さて、『詩とメルヘン』話はこのへんにして、
今回は散文詩出身者という視点から酒井さんの短歌を読み直してみました。
勝手に自由研究です。
すると一首の「ツカミ」やキメどころで散文調の言い回しが多いことに気づかされました。
そこでようやく、
「フツーのはなしことばしか知らないから口語散文調で詠んでまーす」
というものと
「散文調を用いた短歌」
は出発点が違うんだってことに思い至りました。
(いまさら……)
実例をもってお話したいと思います。
「ばかでかい」
「だからつてそこでワープはないだらう」といった、
どこか放り投げたような感触は散文調の得意とする味わいで、
放り投げられたフレーズが
「俺のジッポの汚れたあかり」
「カフエに獨人の秋の淋しさ」といった、イメージの圧縮のきいた
短歌らしいフレーズにキャッチされる。
その「ポーンと投げて……キャッチ」の滞空時間が面白みの源
になっているような気がします。
一方、「蛆蟲を〜」の一首( 切り裂きジャックをテーマにした連作より )は
全体がほぼ散文調で、「天使ごつこ」はかなりキワキワな、一歩間違うと
お花畑直行・そこだけ言葉が浮いているんですけど的フレーズですが、
「蛆蟲を潰す快樂を知つたから」
というほとんど身もフタもない散文の上の句によって力づくで一首にまとめられています。
このような「ゴワゴワの抒情」を表現する方法として、短歌に散文が導入されるわけです。
散文の特質を旺盛に取り込んだ現代短歌の流れに、
詩の世界から飛び込んでくる(その逆もアリ)人は少なくないようです。
そんな越境者のひとり、酒井さんの詩境・歌境が今後どのようなひろがりを見せていくかは
まだわかりませんが、その出発点を垣間見れた気がして面白かったのでした。
……とまとめたところでぼちぼちシメ。
見た目は「でかいカメラ持って古戦場跡とか撮っている人」。
しかしその正体はメルヘンの国から来た切り裂きジャーック!
そんな酒井景二郎さんも参加している「さいとうじゅん作品展」の
盛況を祈りつつ……
であえぇぇーっ!
メルヘンじゃ!
であえ、であえーーぃっ!! (槍を持って走り出す)
以上、勝手PR言いたい放題にて御免!
会場には馳せ参ずる予定にござりまする!
来るなって言われてもいざ新宿!
保護者会と調停の合間を縫って駆けつけまする!
されどその前に『笹公人の念力短歌トレーニング』
を引き取りに、近所のセブンイレブンまで行ってきまするー!
追記
一件訂正です。
この記事のコメント欄にある通りですが、酒井景二郎さんがかつて『詩とメルヘン』に投稿
なさっていたのは「散文詩」ではなくて「散文」とのことです。失礼しました。
散文といってもいろんなジャンルがありますが、『詩とメルヘン』に投稿なさっていたのだから
多分メルヘン。
「メルヘン」は「詩的空想のある掌編読み物」くらいの解釈でよいのかな?
機会があったら掲載号を見せてください。
それとは別に酒井さんの過去のメルヘンはホームページで見ることができます。
悪魔と坊主とスク水美少女の花園へようこそ。
頭にネクタイ巻いた上司の野外カラオケに声援を送らされましたか。
手拍子の強制にゲンナリしましたか。
そんなアナタ、桜をテーマにした詩・短歌・イラストレーション展示会が
ございましてよ?
今度は静かな桜見物といきましょうよ、ギャラリーで。
えー、短歌キャンプの受講者で、『笹短歌ドットコム』の常連投稿者でもある
酒井景二郎さんの参加する作品展の案内をいただきました。
よって勝手にここでも宣伝します。
さいとうじゅん作品展 ―桃桜花とりどりに咲き出でて―
会場 コーヒー&ギャラリー ゑいじう
開催期間 4月14日(月)〜19日(土)11:00〜19:00
(最終日は17:00まで)
内容 桜をテーマに詩・短歌・イラストレーションを展示
参加詩人・歌人
秋月朴斗 あきのそら 浅田志津子 石井淳子
大江ありす 大竹晃子 尾引光子 君子
桐山健一 小沼弘子 酒井景二郎 駿河富子
高滝美和子 棚田悦子 なかにしみつよ
橋本圭一 平岡淳子 藤野光樹 三木裕
水砂 山田弓子 夢さん 渡辺陽子
酒井さんは短歌を詠む前に雑誌・『詩とメルヘン』に散文詩を
投稿されていたそうです。今回はそのつながりでの参加なのかな。
(いろいろ伺ったのにこのへん記憶があやふやでまことに申し訳ないです)
『詩とメルヘン』という本、名前くらいは聞いたことがあるけど
あとは知んないっていう人、手ぇあげてー。
はい、手をあげた人ー。
あなたはおそらく、ギャグマンガの中なんかで物笑いのタネとして
『詩とメルヘン』を見かけましたね?
ケンカ番長のカバンの中から『詩とメルヘン』が出てきて、子分どもが
「オ、オヤビンのコレは見なかったことにしようぜ」
みたいなー?
そういう方、ひとくさりお話させてくださーい。
『詩とメルヘン』は多くの詩人・イラストレイター
( 挿絵画家、という言葉のほうがピッタリくる )を輩出した
投稿雑誌でした。
抒情詩人と童画系イラストレイターの登竜門。
メルヘンのつわものたちが切磋琢磨する梁山泊だったのです。
編集人(編集長という呼び方はしなかった)は、やなせたかし氏。
『アンパンマン』の作者・『てのひらをたいように』の作詞者として
超おなじみの、あの方です。
『やなせたかし』でググると検索候補に「やなせたかし 闇属性」なんて
言葉がでてきます。
「『アンパンマン』の主題歌の歌詞って児童向けとは思えないほど重い」
とか
「アンパンマンは愛と勇気しか友達がいない……あわれな奴」
なんて手垢のついたツッコミがありますけれども、どれも氏の抒情に触れた
世間のすなおな驚きのあらわれでしょう。
(詩=地味め少女の落書きみたいに思っている人はいつでも多いですよねぇ)
そんなやなせ氏のライフワークとして『詩とメルヘン』がありました。
同誌は2003年に惜しまれつつ休刊したわけですが、それでも30年間
出版されつづけたのは驚くべきこと。出版元はサンリオでした。
(サンリオは70〜80年代にマニアックな出版をいろいろやっておりました。
SFを扱ったサンリオ文庫はマイナーな作品ばかり扱って、絶版後の作品が
マニアの間で高値で取り引きされているなんて事もございまして、
キティちゃんにもなかなか業が深い一面があるのですね)
サンリオの『詩とメルヘン』は休刊しましたが、やなせ氏編集による『詩とファンタジー』が
現在、二号まで発行されています。メルヘン大将軍の行軍はまだ終わりません。
……さて、『詩とメルヘン』話はこのへんにして、
今回は散文詩出身者という視点から酒井さんの短歌を読み直してみました。
勝手に自由研究です。
すると一首の「ツカミ」やキメどころで散文調の言い回しが多いことに気づかされました。
そこでようやく、
「フツーのはなしことばしか知らないから口語散文調で詠んでまーす」
というものと
「散文調を用いた短歌」
は出発点が違うんだってことに思い至りました。
(いまさら……)
実例をもってお話したいと思います。
(笹短歌ドットコム投稿歌より)
ばかでかいコンビナートに隠れ住む俺のジッポの汚れたあかり
蛆蟲を潰す快樂を知つたから天使ごつこはこれで仕舞ひだ
だからつてそこでワープはないだらう カフェに獨人の秋の淋しさ
(酒井景二郎)
「ばかでかい」
「だからつてそこでワープはないだらう」といった、
どこか放り投げたような感触は散文調の得意とする味わいで、
放り投げられたフレーズが
「俺のジッポの汚れたあかり」
「カフエに獨人の秋の淋しさ」といった、イメージの圧縮のきいた
短歌らしいフレーズにキャッチされる。
その「ポーンと投げて……キャッチ」の滞空時間が面白みの源
になっているような気がします。
一方、「蛆蟲を〜」の一首( 切り裂きジャックをテーマにした連作より )は
全体がほぼ散文調で、「天使ごつこ」はかなりキワキワな、一歩間違うと
お花畑直行・そこだけ言葉が浮いているんですけど的フレーズですが、
「蛆蟲を潰す快樂を知つたから」
というほとんど身もフタもない散文の上の句によって力づくで一首にまとめられています。
このような「ゴワゴワの抒情」を表現する方法として、短歌に散文が導入されるわけです。
散文の特質を旺盛に取り込んだ現代短歌の流れに、
詩の世界から飛び込んでくる(その逆もアリ)人は少なくないようです。
そんな越境者のひとり、酒井さんの詩境・歌境が今後どのようなひろがりを見せていくかは
まだわかりませんが、その出発点を垣間見れた気がして面白かったのでした。
……とまとめたところでぼちぼちシメ。
見た目は「でかいカメラ持って古戦場跡とか撮っている人」。
しかしその正体はメルヘンの国から来た切り裂きジャーック!
そんな酒井景二郎さんも参加している「さいとうじゅん作品展」の
盛況を祈りつつ……
であえぇぇーっ!
メルヘンじゃ!
であえ、であえーーぃっ!! (槍を持って走り出す)
以上、勝手PR言いたい放題にて御免!
会場には馳せ参ずる予定にござりまする!
来るなって言われてもいざ新宿!
保護者会と調停の合間を縫って駆けつけまする!
されどその前に『笹公人の念力短歌トレーニング』
を引き取りに、近所のセブンイレブンまで行ってきまするー!
追記
一件訂正です。
この記事のコメント欄にある通りですが、酒井景二郎さんがかつて『詩とメルヘン』に投稿
なさっていたのは「散文詩」ではなくて「散文」とのことです。失礼しました。
散文といってもいろんなジャンルがありますが、『詩とメルヘン』に投稿なさっていたのだから
多分メルヘン。
「メルヘン」は「詩的空想のある掌編読み物」くらいの解釈でよいのかな?
機会があったら掲載号を見せてください。
それとは別に酒井さんの過去のメルヘンはホームページで見ることができます。
悪魔と坊主とスク水美少女の花園へようこそ。
次回更新は4/10頃を予定しています。
4月上旬はバタバタしておりまして、すいません。
笹師範の講座は、最終回(29日)がいちばんヴィクトリィーーでした!
今しばらくお待ちください。ではでは。
4月上旬はバタバタしておりまして、すいません。
笹師範の講座は、最終回(29日)がいちばんヴィクトリィーーでした!
今しばらくお待ちください。ではでは。
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